僕を愛した罪
「初めまして…。
桐生、と申します……」
頭を下げて、考えます。
…わかってしまいましたかね?
僕があの男と、どういう関係なのか…。
「桐生くんか。
噂は愛ちゃんから聞いていたよ。
いつも仲良くしてくれてありがとうな。
今日はゆっくりしていってくれ」
…思ったより普通です。
気がついていないのかもしれませんね。
気が付かれないよう息を吐きだしました。
にしても、突然訪問したというのに。
芽衣子さんも次郎さんも、僕を歓迎してくれているようです。
どこの家も、このようなものなのでしょうか?
「桐生くん」
「は、はい」
「夕ご飯はトンカツなの。
食べられるかしら?」
「はい、ありがとうございます」
芽衣子さんがニッコリ笑って台所へ向かいます。
…トンカツ、ですか。
何だか久しぶりに食べますね。