僕を愛した罪
「不思議な感覚だなぁ。
桐生くんがパパやママと喋っているなんて」
ずっと僕の隣で笑っていた彼女が、ピョコピョコと飛び跳ねます。
…キミは蛙ですか。
「桐生くんって良いよねぇ上品で。
礼儀とかキチンとしているし。
きっと桐生くんのお父さんとお母さんの教育が良いんだね」
僕は「…そうですね」と適当に頷いておきました。
…あの男の教育が良い?
ハッ、何を言うのですか?
キミは知らないことが多いので羨ましいですね。
「愛ちゃん。
ちょっと手伝ってもらえるかしら?」
「はぁい!
じゃあ桐生くんは座って待っていてね?
パパ!
桐生くんに手出しちゃ駄目だよ?」
「はは、出すものか」
次郎さんに向かって微笑んだ彼女は、
芽衣子さんが待つ台所へ走って行きました。
その嬉しそうな後姿を見ていると、
「桐生くん」と次郎さんに呼ばれました。