僕を愛した罪
「ねぇ王子くん
この後どうするの?
放課後デートとかしちゃう?」
「いいえしません」
「何でー?」
「キミと一緒にいてもつまらないからです」
「キミキミって…あたしの名前はキミじゃないよ?
あたしの名前は―――」
「前園(まえぞの)さん」
「そうっ!
それで下の名前は―――」
「アホ」
「そうっ!
って違うよ!
あたしの名前はアホじゃない!
愛(あい)だよ!」
「前園アホさん」
「アホじゃないってば!
前園愛、それがあたしの名前だよ?」
「それでは前園アホさん、また。
一生会うことがないよう祈っています」
「酷くない?
あたしは明日も明後日も王子くんに会いたいけどなぁ」
「僕は会いたくありません。一生」
「王子くんってば…。
やっぱり好きー!」
「…………」
いつになったら彼女は僕の傍を離れるのでしょうか?
前園アホさん、は。
「アホじゃなーい!
愛ってちゃんと呼んでよー!
王子くーん!」
何故まともに僕の名前を呼べないアホを
僕が呼ばないといけないのでしょうか?