僕を愛した罪
するとすでに食べ終わっていて、新聞を読んでいた次郎さんが
新聞を閉じて提案してきました。
「だったら愛ちゃん。
桐生くんと別れたら連絡くれないか?
近くまで迎えに行くよ。
それなら安心だろ?桐生くん」
…確かに次郎さんが迎えに行くと言うのなら、安心ですね。
ですが僕は彼女と並んで歩きたくないのですが…。
無言でいると、彼女が椅子から立ちあがりました。
「やったぁ!
パパありがとう!」
「じゃあ上から羽織るもの持っておいで。
冷えたら大変だろう?」
「でもパパ、今夏だよ?」
「万が一。
風邪引いたら桐生くんに会えないぞ?」
「じゃあ可愛いの取ってくる!」
タッと一気に駆け出した彼女は、リビングから出て行きました。
その後姿を見ていると、芽衣子さんが食器を台所に置いて戻って来ました。
「今日は突然の訪問でしたが、ありがとうございました。
夕食、美味しかったです」
「良かったわ、星夜くん」
突然呼ばれた下の名前に、僕は「え?」と固まりました。
次郎さんだけでなく、芽衣子さんも気がついていましたか。