僕を愛した罪
芽衣子さんはニッコリ笑うと、次郎さんの方を向きました。
「愛ちゃん、きっと上に何を羽織ろうか迷っていると思うの。
一緒に選ぶの手伝ってあげてくれない?」
「構わないが…」
「桐生くんに、“あの話”…しておこうと思うの」
あの話?
どういう意味だろうと思っていると、次郎さんが立ちあがりました。
「星夜くん。
オレたちは、キミに感謝しているよ」
「…どういう意味ですか?」
「愛ちゃんを、明るくさせてくれて、ありがとな」
彼女を、明るくさせてくれてありがとな…?
意味がわかっていない僕に微笑んだ次郎さんは、リビングを出て行きました。
リビングには、僕と芽衣子さんが残りました。
「星夜くん。
あなたが星太郎さんの息子だってこと、玄関で気が付いたわ」
「…やっぱりそうでしたか」
玄関で、僕を見つめてくると思いました。
あの時に、もう気がついていたのですね。
どうやら娘さんと違い、ご両親は鋭いようです。