僕を愛した罪
「……何で泣いてんだよ」
笑うのを止め、いつもの無表情に戻るセイくん。
「だって…セイくんの笑顔…初めて、見た」
「……ん」
恥ずかしそうに、頭の後ろを掻くセイくん。
表情も顔色も変わらないけど、照れているってわかった。
「…言っておくけど俺は、お前に軽々と話さねぇから。
話すような奴もいねぇし」
「軽々と話されても困るから、良いよゆっくりで」
「……本当お前といると、調子狂う」
「エヘヘッ」
「褒めてねぇよ」
笑うあたしにつられてか、セイくんもふっと笑った。
あの哀しげな瞳は変わらないままだけど。
きっといつか、かつてのあたしと同じよう、心から笑える日が来るよ。
「……んじゃ、行くか。
あんまり遅いと、次郎さん心配するだろ?」
「うんっ。
パパってば心配性だからねぇ」
あたしは手を繋いだまま、セイくんの隣に並んだ。
セイくんを見上げてニッコリ笑うと、セイくんも少しだけど笑い返してくれた。
ほんの少しだけど、
セイくんの心に入りこめたかな?