僕を愛した罪
「星太郎おじちゃんね、凄く優しいんだよ。
昨日だって、カステラくれたの。
美味しかったんだよー?
セイくんももう少し残っていれば会えたのに」
「……そうですね」
カステラ、ですか。
相変わらずお好きなのですね。
まぁ僕には関係のないことですが。
「セイくんはカステラ好き?」
「わたしですか?
わたしは甘いものは…あまり、好みませんね」
「そうなんだ。
美味しかったんだけどな。
…てかセイくん、わたしって言うんだね?」
「……え?」
「えって…もしかして、無意識?」
…しくじりました。
あの男が話題に出たからでしょうか。
あの頃のクセがポロッと出てしまいました。
「セイくんって本当に上品だよねー。
セイくんがどうやって育ってきたのか見てみたいかも」
「見たところで、キミには真似できないと思いますけどね」
「ふふっ、セイくんってば酷いなぁ」
クスクスと可笑しそうに笑う彼女。
本当に喜怒哀楽が激しく、ポーカーフェイスなどとは無縁な子ですね。
…面白いほど、僕と正反対です。