*短編B L*キミに夢中
___________
________
____
「それでね、そのときタツ君が水たまりに突っ込んだの。
もうズボンがびしょびしょで!
一緒に乾かすの、大変だったなぁ~…!」
「………。」
「あ、っごめん、なんか僕だけ…」
「いや、いいんだけど…
さすがにこんなに夜までタツ君を語られるとは思わなくて…((苦笑」
「ごめん、つい…」
そんなに昔のことじゃないのに、今はもうかなわない。
それが分かってるのに、僕はいつまでもタツ君を引きずっている。
でも、佐田君に優しくされて、佐田君と体をつなげて、佐田君しか考えられなくなるときがある。
タツ君と佐田君、僕の中で二つの存在が混ざり合う。
「じゃー、俺そろそろ帰ろっかな!」
「えっ…」
「そんな寂しそうな顔すんなよ!
またくるって~!」
バッ
すぐに鏡を見る。
…そんなに寂しそうな顔してたかな。
「そいじゃーな!」
バタンッ
扉が閉まると、急に静けさが目立つ。
「…この部屋、こんなに広かったっけ。」
静かな部屋に、独り。
この部屋にいるのがどれだけつらいか、一晩で思い知らされてしまった。