*短編B L*キミに夢中


「…ふーん、じゃ、俺もここすーわろ!」

「えっ…?ちょ、」

「そんなに頭に入るなら、俺も試してみたいしなー。」

「いや、その…」

なんで?
僕といたら佐田君まで…

「なあ、アイツもしかして…」

前の人たちが、こそこそ言いだした。
ほら、早くしないと佐田君がホモのレッテルを貼られてしまう。

佐田君の友達を、僕が壊してしまう。


早く、離れないと。


「いい加減にしてよ…」

「え?」

「どうして僕なんかにかまうの?
興味本位で僕に近づかないでよ…!

佐田君なら、ほかにいくらでもいるんでしょ?

僕じゃなくてもいいじゃないか…!

佐田君はノーマルで、僕はホモ。
弄ばれるのはもう嫌なんだ。

だから、もう僕に関わらないで…!


じゃないと…

好きになっちゃうかもよ?」

言ってしまった。
これでいい。

これでいいんだ…!

「…冬夜?」

佐田君は、心配そうに僕の肩を掴んだ。

「…っもうやめてよ!
タツ君の代わりなんて…いらないよ。」

じわり、と。
涙が滲んだ。

泣くな。
佐田君が僕に近付かなければ、佐田君の友達関係は壊れない。

佐田君がどんなに傷ついた顔をしても、僕には関係ない。

「…っ」

ドンッ


僕は佐田君を突き飛ばして、大学を飛び出した。

「おい待てよ、どうしたんだよ!」

そんな佐田君の声を、背中で感じながら。


「…っ冬夜!!」

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