*短編B L*キミに夢中

ガチャッ


「どちらサマで…」

「ハァッ、ハァ…ッ、ハァ、」

ドアを開けると、そこには汗だくになって息切れしている佐田君がいた。

「佐田、君…？」

しまった、ドアを開けるんじゃなかった。

「…ッ」

ガンッ

あわてて閉めよとしたけど、佐田君が扉を閉めさせまいと力ずくで引っ張った。

力でかなうはずもなく、こうして僕のアパートのドアは開いてしまった。


「すぐ追いかけようと思ったけど、ちょうど先生来ちまって…ッ、ハァ────…

あー、疲れた…」

下を向いて息を整えている佐田君。
なんで、追いかけてきたの…？

僕なんてどうでもいいくせに。

「…ッてかさ！！
なんなんだよお前。」

急に佐田君が僕の方を見て、ギロリと睨んだ。

その目がとっても怖くて。

「なにって…
だから、佐田君は僕じゃなくても…」

「なんなんだって聞いてんだよ、俺の話はしてねぇだろ！！」

なっ…

なんでそんなに怒ってるの？

僕は怖くなって、佐田君に背を向け、自分の部屋に戻った。

佐田君は僕の後を付いてくる。