*短編B L*キミに夢中


「やー久々で悪いんだけどさ、今夜泊まらせてくんね?」

ドキッ

「…え?
いいけど…どうして?」

「俺が借りたアパートで女が4人鉢合わせ、んでもって家賃滞納で追い出されたの。」

うわ~…
悲運のオンパレード。

ていうか、相変わらずの女たらしだなぁ。

「なっ、可哀想だろ俺~…。」

「いいよ。僕一人暮らしだから、好きに使って。」

「オウ!さんきゅな!」

「じゃあ、ハイ、合鍵。」

「え?」

「僕より先に帰ってたら使って。
今夜限りだったら明日の朝返してくれればいいよ。」

「いや…なんか、準備よくね?」


…これは、タツ君が使ってたモノだ。

いつも僕の部屋で待ち合わせて、体を重ねてたから。

あっ、別れたばかりだから、精液の匂いベッドについてるかも…

まあいいや、佐田君は気にしないか。

「大丈夫、少し前に別れた人が使っていたヤツだから。」

「お~!オンナ?」

「………。」

僕は黙って首を振った。



「そっか。
じゃあ、溜まってんだろ?愚痴。

今夜は泊めてくれた礼に聞いてやるから、早く帰ってこいよ!」

にっこりと笑って、それじゃ!と言ってから、佐田君は去って行った。



嵐みたいだと思った。



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