青い春の中を、きみと一緒に。
声の主は、担任のノリセンこと田中紀之。
この通り、教師にはあるまじき極度の面倒くさがり主義の持ち主で、自分の仕事を平気で生徒に押し付けてくるような、怠慢教師だ。
「ちょ、俺部活が!野球部なんだけど!」
「レギュラーじゃねーんだから、別に遅れて行ってもいいじゃねーか。顧問には俺から話を通しておくから、心置きなく作業せい」
「職権乱用じゃ!」
「おうおう、乱用結構、コケッコー」
「な……っ!」
教師というものは得てしてこういうものなのだろうか、ノリセンは俺の精一杯の反抗をニワトリの鳴き声とともに一蹴し、呆れ返って声も出ないでいるうちに紙を手に押しつける。
そして、怠慢教師の極みである大あくびをしながら、のっそりと教室をあとにしていく。
と思えば。
「あ、あとで職員室まで清書用のコピー用紙取りに来いよ。それと、日直に学級日誌出せって言っといてくれー。俺は早く帰りたい」
「……」
帰る気満々の発言を残し、今度こそ出て行った。
つーか、教師が『早く帰りたい』なんて言っていいものなのだろうか、たとえ思っていたとしても普通言わないモンなんじゃ……。
「あ!日直誰か聞くの忘れたし!」