結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】

再び壮絶な親子喧嘩が勃発。怒号が響き渡り、皿が飛ぶ。


「父さんのせいで、私がどれだけ苦労してると思ってんのよ!やっと結婚出来るの。もう私の幸せの邪魔しないで!」

「親が娘の幸せを邪魔するワケないだろ?そんなに結婚したなら、一輝とすればいい。そうすれば、全て丸く治まる」


父親は、何も分かってない。


「それじゃダメ……一輝じゃダメなのよ!」


私はそれだけ言うと家を飛び出した。


そう、一輝なんかじゃダメ。結婚相手は皆が羨む様な男性(ひと)じゃないとダメなの……




あれは―――4年前。25歳の時、久々に高校時代の女友達数人と集まった。


私が通ってた高校は私立のお嬢様学校で、全員が見事に資産家や社長、重役の息子と結婚していた。独身は私ひとり。


皆、何気に旦那の自慢話しばかり。一人身の私は話しに入っていけず、仕方なくひたすら食べていた。すると、高校時代のあだ名が"ボンレスハム"だった、お世辞にも可愛いと言えない娘(こ)に言われたんだ……「蛍子は結婚しないの?」って……


笑って誤魔化していたら、その娘が蔑む様な目をして呟いた。


「あぁ~そっか……蛍子はバツ1の負け組だもんね。かなりレベル落とさないと結婚は無理か……」


この言葉に発奮(はっぷん)せずにはいられなかった。


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