結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】

一生、食わしてやるって事は、一生、私と一緒に居るって事で、それはつまり、プ、プロポーズ?


でも、あまりにもサラッっと言われたから確信が持てない。


「ねぇ、今のって……どういう意味?」

「どういうって、そのまんまの意味だ」


雅人さんからロマンチックなプロポーズを受けた私としては、こんな大事な事を、そんな素っ気なく言うかな?って疑問に思ってしまう。


そういえば、前に一輝と結婚した時も父親が勝手に婚姻届を持ってきて書かされたから、正式に一輝からプロポーズはされてない。


たとえ2度目でも、うぅん、2度目だからこそ、今度はちゃんとした言葉が欲しい。


「あの、一輝……」


そう言い掛けた時、車は運送会社のビルの前のパーキングに到着し、一輝は既に仕事モードに突入していた。


「いいか?お前がプレゼンでヘマしなけりゃ、間違いなく契約になる。これを足掛かりに週末の接待ゴルフで他の保険も薦めるつもりだから上手くやれよ」

「他の保険も?」

「当たり前だ。これで終わりじゃない。ここからが始まりだ」


一輝って、仕事になると人が変わるよね。そのくらいシビアじゃないとトップコンサルタントにはなれないって事か……


さっきの事を今聞いても、甘く優しい言葉は返ってきそうにないな。仕事が終わった後に改めて聞いてみよう。


仕方なく私も気持ちを切り替えて車を降り、気合いを入れ運送会社に向かった。


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