結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
冗談じゃない!他の美人の娘に言われるなら我慢も出来る。でも、アンタにだけは言われたくない!
旦那の親が社長ってだけで、何がそんなに凄いのよ?どうせ、社名を聞いても誰も知らないどっかの中小企業でしょ?なら私は、上場してる大企業のエリートと結婚してやる!
この出来事がきっかけで、私は"結婚したいシンドローム"という病魔に侵されていったんだ。そして、血の滲む様な自分磨きの日々が始まった。
エステはもちろん、ネイルサロンに高級コスメ。そしてスポーツジムと、ありとあらゆるモノに手を出し、内面も大切だと気付くと、ちょっと怪しい自己啓発セミナーにまで勇んで出掛けて行った。
そして、完璧な女性になった私は、父親の親友、泰造(たいぞう)君に頼み込み、泰造君が勤めている外資系企業に入社出来るよう取り計らってもらった。
で、出会ったのが、3歳年上の雅人さんだ。
見た目はちょっと頼りない草食系。けど、仕事は出来るし、将来有望の幹部候補。彼と結婚出来れば、私を鼻で笑ったあの小憎らしい"ボンレスハム"にも堂々と紹介出来る。
もう負け組なんて言わせない……
だから、高学歴、高収入の雅人さんじゃなきゃダメなの……どんなにイケメンでも、平凡な一般人の一輝じゃダメなのよ。