結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
❁愛の行方
次の日、午前中の外回りを終え会社に戻ると楓ちゃんも丁度帰って来たところで、私に話しがあると言うので、ふたりでランチに行く事にした。
お気に入りのカフェで席を確保すると、楓ちゃんは待ちきれないとばかりに話し出す。
「蛍子先輩、これはまだ内緒なんですけど……彼が日本に戻って来る事になったんですよ」
「えっ?そうなの?でも、まだ1年は本社勤務だって言ってなかった?」
「えぇ、その予定だったんですけど、昨日の夜、突然、東京支社の法人部門の主任として異動するようにって連絡があって、今日、慌ててニューヨークに戻って行きました」
「そうなんだ。じゃあ、結婚も早まるの?」
彼が帰って来るのを楽しみにしてた楓ちゃんなのに、なぜか浮かない顔をしてる。
「それが……私はすぐにでも結婚したいと思ってたんですけど、彼が日本に帰っても暫くは結婚出来ないなんて言うから……」
「どうして?」
「なんか仕事の事で色々あるらしくて、それが落ち着くまで待ってくれって」
それは昨夜、私が一輝に言われた言葉と同じ。いったい、アクセスで何が起こっているんだろう?
「理由は聞かなかったの?」
「聞きましたよ~でも、極秘事項だからって、教えてくれませんでした」
極秘事項か……だから一輝も何も言ってくれなかったのかな?
ふたりしてため息を付き、ランチメニューを広げた時だった。楓ちゃんが突然「あっ!」と声を上げる。