結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
私の質問に、常務は怪訝な表情を見せ、低い声で答える。
「契約する代わりに、今夜一晩、ここで私と過ごす……新田君から聞いてるだろ?」
あぁ……やっぱりそうだったんだ。新田係長は、私に枕営業させるつもりで常務を紹介したんだ。
「そんなの聞いてません!」
「はぁ?何言ってるんだ?どうしても契約が欲しい社員が居る。どんな事でもするから面倒見てやってくれって頼まれたから、ここに来たんだ。それを今更……私をバカにしてるのか!」
さっきまで穏やかな表情だった常務が豹変し、野獣の様な鋭い目をしてジリジリと迫ってくる。その迫力に圧倒され声も出ない。
「契約が欲しいんだろ?だったら、私を怒らせない方がいい」
そう言うと、目の前のテーブルを蹴り飛し、私をベットに押し倒す。
「いや……やめて……」
必死で抵抗を試みるが、巨体の常務はビクともせず、ガッチリ体を押さえ付けられ身動きひとつ出来ない。そうこうしてると、脂ぎった常務の顔が近づいてくる。
あぁ……イヤだ。こんなの……絶対、イヤ。
常務の唇が私の首筋に触れた瞬間、あまりの気持ち悪さに耐え切れず、有りっ丈の声で叫んでいた。
「やめてー!助けてぇー!」
同時に手足をバタつかせ首を左右に大きく振る。と、その時―――右膝に何か妙なモノが当たった……
その直後、常務の苦しそうなうめき声が聞こえてきて、私を押さえ付けていた腕の力が抜けていく。
「ううっ……」
「えっ?な、何?」
慌てて起き上がると、常務が自分の股間を押さえベットの上をのた打ち回っていた。