結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
間違いない。あの事と関係があるんだ。
「私、知ってます。今、アクセスで何か問題が起こってるんでしょ?」
「……なんの事?」
「奥田主任は何かを調べてる。そして、誰かを監視してる。……その事に斎藤次長が関わっているんですか?」
今まで一切、表情を変える事がなかった奥田主任の顔色が変わった。探る様な目で、マジマジと私を見つめてくる。
「それ、どこからの情報?」
「あ……」
しまった。楓ちゃんに聞いたのがバレたらマズい。
口籠り奥田主任から視線を逸らした瞬間、彼は何かを察した様に「なるほど……」と呟き頭を抱えた。
「楓か?アイツ、君に話したんだ?ったく……お喋りだな……」
ため息を付く奥田主任を見て焦った私は、必死で楓ちゃんを庇う。
「違うんです。私がしつこく聞いたから……楓ちゃんは悪くない。彼女を責めないで下さい」
だって、これが原因でふたりの仲が気まずくなったら、楓ちゃんに申し訳ないもの。
「分かってるよ。楓は軽い気持ちで言ったんだろう。アイツに悪気なんてないさ。でも、この事は他言しないで欲しい」
「はあ……」
「会社の人間に知られたくないんだ。中でも斎藤次長には、何があっても絶対に知られたくない。……もし、約束出来ないのなら、今ここでそう言ってくれ」
鋭い目で睨まれ、ゾクッと寒気がした。
「もし、約束出来ないって言ったら?どうなるんですか?」
「―――悪いが、君にはアクセスを辞めてもらう」