結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
さすがにこの言葉には私もキレた。
「何言ってるんですか?私は新田係長とは違います。枕営業なんて出来ません!」
「あら?いい度胸ね。私に口答えするの?」
「当然の事を言ったまでです。そんな事をしてまで契約取りたいとは思いません。それに、私を山本常務の所に行かせたのは、契約の為だけじゃないですよね?」
さっき飲んだシーブリーズが効いてきたのか、アルコールの力で気が大きくなった私は、臆する事なく新田係長を睨み返す。
こうなったら、もう引き下がれない。彼女が上司だとか、そんな事もうどうでもいい。自分でも驚くほど強気で責めたてたら、今度は新田係長がキレて本音を口にした。
「そうよ。アンタを山本常務の所に行かせたのは、契約の為じゃない。アンタが邪魔だっただけ。目障りなのよ!」
「目障りって、私が何をしたって言うんですか?」
負けじと詰め寄り言い返すと、彼女は前髪を掻き上げ吐き捨てる様に言った。
「一輝の元嫁の存在自体が邪魔なのよ!」
「えっ……」
新田係長は、私と一輝が結婚してた事知ってたんだ……でも、当然と言えば当然なのかもしれない。だって、彼女は一輝の元カノ。知ってても不思議じゃない。
そういう事かと納得した直後、前屈みになった新田係長が急に声のトーンを落とし問いを発した。
「私と一輝が付き合ってたの……知ってる?」
素直にコクリと頷く私に、更に新田係長の質問は続く。
「じゃあ、なんで私と一輝が別れたか……知ってる?」