結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
楓ちゃんは『そんな事、気にしないで下さい』って笑う。そして、少し戸惑った声で私と一輝の関係を聞いてきた。
彼女もあのカフェでの一件で、私と一輝が只ならぬ関係だと気付いたみたいで、ずっと気になっていたそうだ。
『会社じゃ、ちょっと聞きづらかったので……』
「うん……付き合ってたんだけどね。でも、振られちゃったかも……」
まだ一輝から直接別れの言葉は聞いてない。だから、ハッキリ振られたと決まったワケじゃないけど、心のどこかでもう無理なのかもしれないって諦めていたのも事実。
きっと私は、この苦しい胸の内を誰かに聞いてもらいたかったんだと思う。
ここ数日の出来事を自分の中で上手く噛み砕いて消化するだけの強さは私にはない。何もかも吐き出して楽になりたかったんだ。
でも、年上だというプライドが邪魔してくれたお陰で、辛うじて取り乱して泣き叫ぶ様な事態だは避ける事が出来た。
『えっ……蛍子先輩と斎藤次長が……元夫婦?で、元カノの新田係長に斎藤次長を奪われた?』
「まぁ、大まかに言えばそんな感じかな」
今まで社内で起こった数々の愛憎劇を鼻で笑ってた楓ちゃんだったが、さすがにこれには驚いた様で、暫く絶句してスマホは無音状態。
そして、やっと返ってきた言葉が『まるで昼ドラみたいですね……』だった。
確かに、ドロドロかも……と納得して、こっそり苦笑い。