結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
―――翌朝
昨夜は何度も目が覚めて熟睡出来ず、朝から片頭痛で気分は最悪。そして、その痛みを更に悪化させてるのは、目の前に居るクソ親父。
黙々と朝食を食べてる私に、やたら絡んでくる。
ママの作った料理を一口食べるたびに「美味しいだろ?」と聞いてくるから、うっとおしいくて仕方ない。あまりのしつこさに、ママまで「静かに食べなさい」って呆れ顔。
父親はテンションを上げ楽しそうだけど、私は堪らなく居心地が悪い。だから、ママがお茶を入れにキッチンに行くと、なんだかホッとした。
すると、ママの後ろ姿をチラッと見た父親が小声で囁く様に言う。
「なぁ、蛍子、お前達の結婚、いつにするか一輝とちゃんと話し合ってるのか?」
「そんなのしてないよ」
何よ!男は仕事が大事だから、そっちが落ち着くまで結婚は延ばせばいいなんて言ってたくせに。もう気が変わったの?
「でもさ~やっぱ、籍だけでも早く入れた方が良くないか?」
調子のいい父親に、思わず『一輝とは結婚出来ないかもしれない』と言いそうになり焦る。
「もぅ!朝っぱらからうるさいなぁ~。別にいつでもいいでしょ?」
ソッポを向く私の袖口をムンズと掴んだ父親の声が更に小さくなる。
「実はな、ママがワシ達の結婚は、蛍子と一輝が籍を入れてからじゃないとイヤだって言い出してな。お前達が結婚してくれないと、ワシらも一緒になれないんだよ」
「えっ……ママがそんな事を?」
「そうなんだよ~。まずは子供の幸せでしょ!なんて言うんだ。だからさ、取り合えず、籍入れてくんない?」