結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
「ほら、同じ部門の人同士が結婚したら、異動しなきゃいけないってアレですよ。人事部の遠藤係長なら詳しいでしょ?」
「あ、そうか、雅人さんに聞けばハッキリするよね。分かった。聞いてみるよ」
大きく頷いた後、一輝が言ってたもうひとつの事を思い出す。
「そう言えば、楓ちゃんって、奥田主任と同棲してるんだよね?人事から何か言われなかった?」
「人事から?別に何も?彼と同棲してたら何か問題でもあるんですか?」
「うぅん、何もないならいいんだけど……」
一輝は私との関係がバレない様に、わざわざマンション借りたんだよね。やっぱ、次長と主任の違いか……
―――そして、仕事が終わり、雅人さんがラインで知らせてきた居酒屋へ向かう。
予約してくれていた個室には、既に山根主任が来ていて、笑顔で私を迎えてくれた。
「吉美田さん、久しぶりね。元気だった?」
「はい。山根主任も元気そうで良かったです」
ホントは、全然元気じゃないけど……
「さっき、雅人から連絡があって、残業で少し遅れるって言ってきたの。先に始めてましょ」
そう言うと店員を呼び、お薦めの品を何品がオーダーして、私はビール。山根主任はウーロン茶で乾杯する。
「つわりは、もういいんですか?」
「えぇ、もう大丈夫。今は食欲旺盛で体重増加が心配なくらい。でね、たまには外で食事しようって事になったの」
「そうですか。でも、私なんかが来て良かったのかな?」
なんだか、せっかくのデートを邪魔しちゃったみたいで気か引ける。