結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
❁本当の優しさ


―――憂鬱な週明け


「蛍子先輩、目の下のクマ……凄い事になってますよ」

「うん、知ってる」

「プラン書で苦労してるんだ~」


コンシーラーでも隠せない酷いクマの原因は、なかなか進まない運送会社のプラン書だけが原因じゃない。あの一輝との一件以来、私は情緒不安定。よって、不眠症。ゆえに、肌は荒れ目の下には大きなクマ。正に負の連鎖。


一輝は完全にキレてしまい仕事以外は全く口を利いてくれない。土日も朝早くから出掛け、帰って来たのは深夜だった。


きっと、山根主任の所へ行ってたんだろう……もしかしたら、子供を産んでくれるよう山根主任を説得してたのかもしれない。


そうしろと言ったのは私なのに、寂しくて堪らない。家でも会社でも、こんなに近くに居るのに、一輝を凄く遠く感じる。


雅人さんもあの事を知ってから様子がおかしかった。ラインをしても返事は半日経った頃に素っ気ない文章が送信されてくるだけ。今日も直行で、あんまり会社に顔を出さない。


山根主任は体調が悪いのか、今日は午後から出勤すると電話があった様だ……


大きなため息を付きパソコンの画面に視線を戻すと、総務の娘がニコニコしながらやって来た。


「お仕事中すみませーん、歓迎会の出欠取らせてもらっていいですか~?」

「歓迎会って、誰の?」

「斎藤次長の歓迎会です。今夜7時に近くの居酒屋でやるんですけど、御都合どうですか?」


一輝の歓迎会か……どうしよう……


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