結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】

―――翌朝


昨夜は色んな事があったから、疲れ果て考える間もなく寝落ちしちゃったけど、今、改めて考えてみると、これは大問題だ。


あのクソ親父のせいで、ど凄い事態に陥ってしまった。


彼に離婚歴があることをカミングアウトするだけでも相当なプレッシャーなのに、元旦那と同居してるなんてバレたら、間違いなくプロポーズは白紙撤回だ。


とにかく一輝には、早々にここから出て行ってもらわないと……


「よし!幸せの為だ。頑張れ私!」


いつもの様に気合いのメイクを済ませスーツに着替えると階段を駆け下りる。でも、居間に一輝の姿はなく、父親がひとりで朝食を食べていた。


「あれ?一輝は?まだ寝てるの?」

「んんっ?なんだ、なんだ?昨日はあんなに嫌がってたのに、一輝の事が気になるか?」


イヤらしくニヤリと笑う父親に殺意を感じる。


「なっ……勘違いしないでよ!出て行ってって言おうとしたの!で、一輝は?」


すると父親が味噌汁をすすりながらボソッと言った。


「一輝は出て行ったよ」

「えっ?ホント?マジ?」


喜ぶ私をチラッと見た父親。その顔は明らかにニヤけている。


「夜には帰って来るけどな」

「へっ……?」

「蛍子のバーカ!騙されてやんの。いいか?一輝が帰って来るのは当然の事だ。ここはアイツの家なんだから」


沸々と湧き上がってくる怒り。この怒りを抑える術を、私は知らない……


< 9 / 306 >

この作品をシェア

pagetop