新社会人の私と不機嫌な若頭
杏奈がサインしないことに
女は焦っていたんだ
「早く、一緒になりてぇ」
そんな嘘を並べる
一つ一つ、言葉に出すたびに
心で杏奈に謝罪する
「あいつがいたら、俺がサインさせるのに……そしたら一緒になれる」
一か八か……カマをかけた
馬鹿な女は、すぐに乗ってくれた
そのおかげで杏奈を助けることができた
馬鹿な女とグルだった男が
杏奈を守っていたのには驚いた
けど、そいつのおかげで
杏奈は死なずに済んだのかもしれない
女は、沈めてやった
男は……二度と俺たちの前に現れないことを誓わせ逃した
杏奈は、何度大変な辛い思いしても
笑ってくれる
我慢させてるんじゃないかと不安になることもあったけど
どうも、杏奈の性格らしい
その性格に何度助けてもらったことか…
杏奈には感謝してもしきれない
それは今もだ……