新社会人の私と不機嫌な若頭


杏奈がサインしないことに
女は焦っていたんだ


「早く、一緒になりてぇ」


そんな嘘を並べる
一つ一つ、言葉に出すたびに
心で杏奈に謝罪する


「あいつがいたら、俺がサインさせるのに……そしたら一緒になれる」


一か八か……カマをかけた
馬鹿な女は、すぐに乗ってくれた
そのおかげで杏奈を助けることができた


馬鹿な女とグルだった男が
杏奈を守っていたのには驚いた
けど、そいつのおかげで
杏奈は死なずに済んだのかもしれない


女は、沈めてやった
男は……二度と俺たちの前に現れないことを誓わせ逃した


杏奈は、何度大変な辛い思いしても
笑ってくれる
我慢させてるんじゃないかと不安になることもあったけど
どうも、杏奈の性格らしい


その性格に何度助けてもらったことか…


杏奈には感謝してもしきれない
それは今もだ……
< 123 / 149 >

この作品をシェア

pagetop