新社会人の私と不機嫌な若頭


俺からは誘わない
誘われるのを待つ

杏奈から誘われる事は
今までなかったから
いつ、誘ってくるか楽しみだった


もしかしたら、もうないかもっとも
思っていたが、意外と早く来た


頬を赤らめ、小さな声で言ってくる
それが可愛くて愛おしいくて……

けど、それも長くは無理な話


いつものように、二人で風呂に入り
風呂上がりソファでくつろいでいた



『……あっ』


ん?なんだ?
杏奈に目をやっても、お腹を愛おしそうにお腹をさすっているだけ


いつもと変わらない光景


『……あっ』


また?なんだ?
杏奈を見ても、さっきと変わらねぇ


「どうした?」


杏奈の隣に座り、俺もお腹に手を当てた
杏奈は俺の顔を見たが何も言わない


ん?なんだ?
杏奈が何も言わないなら
大した事じゃな…………ん?


俺は何かを感じた
杏奈を見ると、杏奈はクスッと笑って


『感じた?』


「……なんだ、これ」


『ふふっ……胎動。お腹の中で涼ちゃんが動いてるの』



「……胎動……涼ちゃん?」


「涼ちゃんっていうのは、名前も性別もまだでしょ?けど、名前で呼びたくて……涼介さんの子供だから涼ちゃん。」
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