新社会人の私と不機嫌な若頭
「……産みましょうか!」
予定日より5日遅れている
検診に来たら、おばさん先生が言った
「お薬を使って陣痛を起こします。それで出産へ繋がると思います」
「お薬を使いますので、こちらの書類に目を通していただいて、問題なければサインをお願いします」
「それと、入院準備はしてあるよね?すぐ入院できる?」
おばさん先生が話を進めている
『はい、大丈夫です』
確かに荷物は持ってきた
これから始まるのか?
そんな期待をしていたが
その期待はすぐ外れてしまった
「んー、この薬じゃ陣痛来なかったか」
入院してすぐに薬を飲まされ
ずっとベットにいた杏奈
「明日から、点滴にしますね。今日は明日のために休んでくださいね」
そう言って、おばさん先生はいなくなった
『残念。まだ産まれなさそう』
杏奈は残念と言ったが
俺には残念そうに見えなかった
むしろ、楽しんでいた。