新社会人の私と不機嫌な若頭


杏奈の病室
なんだか騒がしい気がする


「大丈夫ですよ。もう少し頑張ってくださいね」


ん?なんだ?
そう思い病室を覗き込めば
杏奈が顔を歪めて
必死に耐えていた

その杏奈の背中をさすってる看護師


「あ、岸谷さん。奥さん、旦那さんが来ましたよ」


……始まってるのか?


「杏奈、連絡よこせって言っただろ?」


俺は杏奈に駆け寄り手を握った


『ん……、ごめ……んーっ!』


必死に耐えている杏奈
耐えるために俺の手を握りしめる
そのチカラの強さが
痛みの激しさを明らかだ


「岸谷さん、ちょっと子宮口の開き具合を見ますねー」


そう言って、看護師は杏奈の下半身に手を入れていた


それでわかるのかと思ったが
そんなこと考えてられない


『んんっ!…んーっ……はぁ、はぁ』


杏奈の痛みは半端ない
変われれるなら変わってやりたい



「岸谷さん、移動しますね。立てますか?岸谷さんのタイミングに合わせますね」


移動一つにしても
陣痛が押し寄せ、すぐ移動できると思いきや、動いては陣痛が来て動けなくなる


ようやく分娩台へたどり着いた時には
杏奈の顔から汗が垂れていた
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