新社会人の私と不機嫌な若頭


朝、目がさめると
涼介さんの腕の中……
いつもなら、涼介さんと向かい合っているけど、今日は違う


「おはよ」

そう聞こえ抱きしめられている腕が
更に私を抱きしめてきた


『……おはようございます』


そう言って涼介さんの腕から
私は抜け出した


「杏奈……怒ってるのか?」


涼介さんの声が弱々しく聞こえる
私が怒ることなんて、まずない
だから涼介さんは
どうしていいか、わからないんだ



『……私が悩んでいたら、美鈴さんは親身になって聞いてくれました。アドバイスもしてくれたんです……涼介さんにとっては仲のいい友達の一人かもしれませんが、私にとっては……やっと自分の事を話せる人なんです』


泣きそうだった……
だから涼介さんの言葉を待たずに
私は寝室を出た


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