新社会人の私と不機嫌な若頭


『涼介さん……?』


「ん?」


『邪魔でしょ?退けますよ』


「いや、邪魔じゃない」


邪魔でしょ、どう見ても……
動くにも動けない
何もできない……

あえて出来るとしたら
涼介さんと一緒に本を読むこと
……と、邪魔すること


涼介さんの読む本は……正直難しい
だから邪魔する方を選ぶ


けど、何しても涼介さんは動じない
しまいには

「煽るな、まだし足りないのか?」


そんな言葉が返ってくる


『涼介さん…今日はお出かけする?』


休みの時は家で過ごすか
私の物を買いに行くって言い出すか…
けど、今日は違った



「ああ、岸谷の家に行く」


えっ?……引っ越してきて
岸谷の家に行くなんて言うのは初めてだ


「夜に行くから、それまでは休んでろ」
「まず、風呂入るか…」


そう言って私を抱きかかえてバスルームへ歩き出した
< 40 / 149 >

この作品をシェア

pagetop