新社会人の私と不機嫌な若頭



「うん、うん、泊まる」


沙耶は嬉しそうに返事をする


『私は、帰ります。涼介さんが心配だし』


「は?私はあんたが心配だわ」


白鳥さんが突っ込んでくる
笑っちゃうくらい真面目に。


12時を過ぎた頃私の携帯が鳴る
相手は、涼介さん


「杏奈」


電話を出ると大好きな声


『終わったの?』


「いや……まだ。けど帰りてぇ」


『ふふっ、後ろがかなり騒がしいもんね。大丈夫?飲み過ぎてない?』


「ああ、飲んではいるけど問題ねぇ」
「まだ白鳥の家か?」


『うん、けどもう帰るよ』


「わかった、気をつけて帰れ。俺もなるべく早く帰る……早く杏奈を抱きてえ」


電話で言われると……また新鮮
身体が熱くなる


「あとでな」


そう言って電話を切った
早く帰らなきゃって思ってしまう
涼介さんの一言で
こんなにも満たされるなんて……幸せだ
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