新社会人の私と不機嫌な若頭


「タクシー呼んだからね」



『はい、ありがとうございます』
『今日、話してみます』


昼間怒られたことを白鳥さんに伝えた
それがいいわって笑ってくれる


白鳥さんと沙耶に別れを告げ
私はタクシーに乗りマンションへ入る
自動ドアが開き、カードキーをかざし
暗証番号を入れようとボタンを押した時



何かが私の背中に当たった
振り返ろうとしたが


「振り向くな、動くな」


その声は……
あのコンビニでの男の声に似ていた


「言ったはずだ、岸谷涼介から離れろと」


背中に何が当たってるのかはわからない
けど、決していいものじゃない


私はチラッと防犯カメラをみた
そして、声を出さずに……


『たすけて……知らない男』


そうなんども言った


『どうして、私を?』


「余計な事を聞くな」
「……そうだな、ある女に頼まれたっとだけ言っとくか……」


ある女?頼まれた?
私には全く意味がわからない
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