新社会人の私と不機嫌な若頭
それから数日経ったある日
ここ最近、ご機嫌だった女が
更にご機嫌な日だった
そして私の前に1枚の紙を見せた
「これが何かわかる?」
それは……離婚届
見たら、涼介さんの名前が書かれていた
そんな……
そんなはずはない。
けど……涼介さんの字だった
涼介さんは背も大きくて
でも大きいのに、そのわりに
小さく滑らかな優しい字を書く
『……嘘だっ!』
そんな私を高々と笑う女
「あんたは捨てられたの、諦めなさい」
「ほら、早くサインしなさいよ」
そう言って私にボールペンを押し付けてくる
信じたくない……
サインなんてしたくない…
「早くすれよっ」
そう言って私を殴る女
いつも止めてくれる彼は止めてくれない
『うっ……ぐはっ……』
顔もお腹も殴られ蹴られ……
女は荒く息をしている
「さっさと、サインしときな」
そう言って女は部屋から出て行った