新社会人の私と不機嫌な若頭



そのあと、彼が何を話したのか
全く覚えてない


生きていてもしかたがないのかな?
そんなことも考えなくはない


そして、またあの女がやってきた


「まだサインしてないの?」


そう言って、お腹に一発。


「やめろって、もういいだろ?」
「俺が説得するから、止めろよ」



彼がなんとか止めてくれたが
女はそれも気に入らなかったみたいで
私の髪をぐいっと持ち上げ
ハサミでバサバサ切った


抵抗も何も出来ない
パラパラと床に落ちる髪


私の髪を切りながら笑ってる女
……もう、どうでもいい。


女は無抵抗な私に飽きたのか
部屋を出て行った


そして、謝るのは彼。


「せっかくの長い髪……ごめん」


返事もできない
だから首を横に降る


「なぁ、サインしよう。本当に死んじまう。もう、誰も死んでほしくないんだ」


涙ながらに訴える彼



あまりチカラが入らないけど
私は彼の頬に流れる涙を拭いた
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