新社会人の私と不機嫌な若頭
「サインした?」
また女が来た
珍しく優しい声で……
甘ったるくて吐き気が出る
「まだしてないんだ……」
「そう思ってさ〜、相談したら来てくれた」
来てくれた?誰が?
コツコツと音がする
その人が部屋に入ってきた
きっちりとさスーツを着こなし
サングラスをしている涼介さん
いつもサングラスなんてしないのに。
あー…変わってしまったのかと思った
「涼介がね、サインしないなら俺がさせるって言ってくれたの。ねっ?」
そう言って女は涼介さんに抱きつく
涼介さんも女の子腰に手を回す
見たくなかった…
そんな姿……
「ちょっと待ってろ」
涼介さんは女から離れて私の方へ歩いている
「お前もあっちにいろ」
そう発した言葉に、隣にいた彼は私から離れていった
私の前にしゃがみこむ涼介さん
「なんでサインしねぇんだ?」
その声はとても低く
いつも私と話している涼介さんの声じゃない
私は首を横に降る
「サインした方が身のためだ。このままだと死ぬぞ?」
死ぬ?死んだ方がマシ
いっそのこと、殺してほしい
『……して。……ろして』
「ん?なんだ?」
『こ……して……。ころ…して』
『殺…してよ…。さい…ん、する……くらいな……ら、死に……たい。』