新社会人の私と不機嫌な若頭


そう言うと、一瞬涼介さんの目が変わった
その目は、悲しんでいる目


「……お前は殺さない、死なせない」


そう言うと、涼介さんは内ポケットから
ナイフのようなものを出した


「涼介、やっちゃえっ!」


後ろの方で楽しそうに笑う女



涼介さんに殺されるならいい……
最後に涼介さんの顔を見れただけで
それだけでもラッキーだ



『あ…りが…と。りょ…すけ……あ……いし…て……る』



なんとか言えた感謝と気持ち
最後に涼介さんの笑った顔が見れなくて
とっても残念だけど


それでもいい。
涼介さんが本当に幸せになるなら……
それが一番いいなら。



私は目をつぶりその時を待った。
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