新社会人の私と不機嫌な若頭


そのナイフは私には降りてこなかった


パサっ……


え?……縛られていた手の縄が切られた
どういうこと?


涼介さんは足の縄も切ってくれた
何が何だかわからない……



涼介さんを見ると
悲しそうな目をしている


「……帰るぞ」


そう言って私を抱きかかえて立ち上がる



「涼介、どういうことっ!」


女が涼介さんに近づいてくる



「ちょっと、何?あんた達離しなさいよ!触らないでよ!」


女は涼介さんが連れてきた組員さん数人に囚われていた


涼介さんは女の前を素通りする


「なんでよ、その阿婆擦れのどこがいいのよ!他の男に簡単にまた広げる女よ!?どうせ、浩太ともやってたんでしょう?じゃなきゃ浩太があんたを庇うわけないもん、インラン女!」



女が喚き散らしている
涼介さんは足を止め、私の方を見た
< 80 / 149 >

この作品をシェア

pagetop