新社会人の私と不機嫌な若頭
そのナイフは私には降りてこなかった
パサっ……
え?……縛られていた手の縄が切られた
どういうこと?
涼介さんは足の縄も切ってくれた
何が何だかわからない……
涼介さんを見ると
悲しそうな目をしている
「……帰るぞ」
そう言って私を抱きかかえて立ち上がる
「涼介、どういうことっ!」
女が涼介さんに近づいてくる
「ちょっと、何?あんた達離しなさいよ!触らないでよ!」
女は涼介さんが連れてきた組員さん数人に囚われていた
涼介さんは女の前を素通りする
「なんでよ、その阿婆擦れのどこがいいのよ!他の男に簡単にまた広げる女よ!?どうせ、浩太ともやってたんでしょう?じゃなきゃ浩太があんたを庇うわけないもん、インラン女!」
女が喚き散らしている
涼介さんは足を止め、私の方を見た