新社会人の私と不機嫌な若頭
何かが触れて、私は目を覚ました
「起きたか?」
その声の主は、涼介さん
その声だけで安心して涙が出た
「どうした?どこか痛いか?」
オロオロしている涼介さん
それが嬉しくて、さらに涙が出る
『…もう……会え、ないと…思っ…た』
そう言うと涼介さんは私の手を取る
『始め…は、大丈夫っ…て、思っ…てた……りょう…すけ……さんが、助けに…きて…くれる……って』
私が話すのを辛そうな顔で
何も言わずに聞いてくれる
涼介さんに包まれている私の手を
強く……確かめるように握りながら
『けど……りこ…んとど……け。……見たとき……もう……無理なんだって……』
「それは…」
涼介さんが口を挟んできたが
私は構わず話を続けた