新社会人の私と不機嫌な若頭
私の身体には無数の傷が残された
けど、彼が処置してくれていたおかげで
大きな痕は残らないみたい
『……あの人…は?』
涼介さんは少しだけ困った顔をした
「この街から出した」
『……また……会える?』
彼が居なかったら
私は多分死んでいた
こうやって、また涼介さんに
会えなかったと思う。
「ああ、元気になったら会いに行こう」
涼介さんは会いたくないだろう
けど、彼にちゃんとお礼を言いたかった
私にしたことは許される事じゃない
けど、彼は私を守ってくれたのは事実
『ありがと……りょう、すけ』
そう言うと
涼介さんは顔を真っ赤にして
「……ったく…」
その顔がやっぱり好きだ
それから毎日、涼介さんはお見舞いに来てくれたっと言うより、入り浸り
三宅さんが何度「若、いい加減にしてください」って言ったか……
けど、それ以上に酷かったのがお父さん
泊まると言いだした時には
さすがの翔子さんも怒ったみたいで
「離婚するわ」
そう言っていた
さすがのお父さんも大慌てで帰っていった
それからは、お父さんと翔子さんが一緒にお見舞いに来るようになった