新社会人の私と不機嫌な若頭


やっぱり白鳥さん、好きだ。
そう思っていたら
涼介さんと目があった


だから、涼介さんに訴えた
届け……私の願い……


そう思っていたら
フッと涼介さんは笑い
私たちの元へ歩いてくる


「これっきりだからな」


『はい、これっきりです』



そう話す
白鳥さんは訳がわからない顔をして
私から離れようとした



「ちょっ……オーナー!杏奈っ!なっ」


これほど焦っている白鳥さんは初めてだ



涼介さんが抱き合っている私達を抱きしめてくれた


『ふふっ…白鳥さん?涼介さんっていい匂いしますよね?』


「えっ……あ、あら、本当だわ。何か付けてるのかしら?」


『いいえ、何にも……。涼介さんの匂いって安心するんです』


「……本当ね……って、彼に怒られちゃうかしら?」


『ふふふっ、じゃぁ彼氏さんには秘密にしましょう』


「そうね。ってか、杏奈はいつもこの匂いに包まれて寝てるのね、羨ましいわ」


『……レンタルします?』


なんて笑いながら話す私達。
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