風に運ばれて~マシュの想い出~[短編]
あなたが眠っている棺を、そっと霊柩車に乗せる。

ポトリ・・・ポトリ・・・・・・・

アスファルトの上に涙の雫の痕が広がっていく・・・

あなたの最後の姿を目に焼き付けようと、じっと見つめている。

私の後ろでは、家内が声を出して泣いている。

空は蒼く晴れていて、僅かな風が吹き過ぎていった・・・

時間が・・・止まっている。

家内が私と交代してあなたに触れ始めた。

私の足元には幾つもの雫の痕が、次々と増えている。

ただただ、あなたが愛しくて、目があなたから離れない。
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