風に運ばれて~マシュの想い出~[短編]
今まで悪くなっても、良くなった事が無かったので・・・





三本足になって早く移動できないあなたは、私が出かける時に

「行ってくるわな」

と声を掛けると尻尾を振って見送りをしてくれて、私が家に戻るとリビングから

「カツ、カツ、カツ、・・・」

玄関へ向かって歩いて来る音が聞こえ、私を迎えに来ようとしてくれていましたね。

私が嬉しくて抱き上げようとすると

「えへ」という顔をしていました。

そんな僅かな幸せが、一年でも長く続くのを祈っていたのに・・・

僅か一ヶ月ほど後に、その日が、やってきました。








あなたの旅立ちの日が・・・






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