風に運ばれて~マシュの想い出~[短編]
2006年9月16日午後八時過ぎ

「連れて帰って来たで」

マシュの入ったキャリアーを提げて家内が二階へ上がっていく。

「どんな猫なん」

私が家内を追いかけるように二階へ向かう。

そして今は都会へ行って居ない娘の部屋に入るとドアを閉め、娘のベッドの上に置いたキャリアーのドアを開ける。

「マシュ・・・マシュ・・・出てきな」

キャリアーから出て来たマシュは、きょとんとした表情で座った。

「よう来たなぁ」

マシュを撫でてみるが、表情を変えずにこちらを見ている。
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