風に運ばれて~マシュの想い出~[短編]
「狸みたいやろ」

「ほんまや、狸みたいやけど、ちょっと色が違うなぁ」

その時、私は、すぐに気がつき家内に言った。

「顔の真ん中が狸は暗いけど、マシュは明るいんや」

と言葉を交わすと家内は一階へ下りて行く。

部屋に残った私はマシュの身体を撫でながら、顔と顔を付き合わせた。

「カァー」

あなたが最初で最後の威嚇を私にした。

しかし、あなたは噛むわけでもなく、引っかきもしませんでした。

その後は、おとなしく撫でさせてくれましたね。
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