風に運ばれて~マシュの想い出~[短編]
この頃には、私は、あなたを、もう娘だと思っていました。

あなたは、いつも「えへ」とした愛嬌のある笑顔で玄関まで出てきて「おかえり」の迎えをしてくれて・・・

「出て行っちゃうの」と少し寂しそうな顔で、玄関から見送りをしてくれた。

春一番が吹き、南風が春を運んでくれる季節になると、あなたは玄関から外を覗き、家から外へ出たそうにしていましたよね。

そして家の外へ出す決心をして、ハーネスをつけて散歩をしました。

散歩の途中、あなたは俊敏で何でも捕まえましたが、お陰で蜂にも刺されてしまいましたね。

何度か脱走事件も起してくれましたが、楽しい散歩でしたよ。

この頃、あなたと二人で何度も一緒に車で行った、スーパーマーケットが懐かしく想い出されます。
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