僕が歌えば、君が来る。
パチパチパチパチ
歌い終わってから鳴り響く拍手の音。
先輩が、拍手してくれている音だ。

「…うまいな。」
「……ありがとうございます。」

褒められたのは、素直に嬉しかった。
でも、先輩の顔は険しかった。
すごい眉間にしわを寄せている。
なんでそんな顔してるんですか……。
先輩の顔を見ながらどんどん落ち込んでいく。

「どした?!なんで泣きそうな顔してんだ?!」

先輩が何言っているのかわからなかった。
自分はポーカーフェイスをしているつもりだったから。
まさか、そんな顔をしているなんて思わなかった。

「わりぃ、俺なんかしたか?」
「……どうして、そんな険しい顔をしてるんです?」
「…お前は、ギターはうまい。が、声が出てない。」
「声?」

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