僕が歌えば、君が来る。
今まで、ギターを上手に弾けるようにと頑張っていた。
毎日基礎錬したり曲を弾いたりしてた。
だけど、歌は練習しなかった。
歌いたくなったら歌っていた。
ただ、普通に。
ギターのレベルは上がる。でも、歌のレベルは、練習をしないから上がらなかったのだ。

「もったいない。すごくもったいない。ボイトレすれば、多分もっと、うまくなる。」
「……ボイトレって、どうしたらいいんですか?」
「知りたいか?歌がうまくなりたいか?」

なりたい。歌がうまくなりたい。うまく歌えるようになりたい。心の底からそう思った。

えゃあ、明日また放課後ここに来い。」
「今日は、……もうしないんですか?」
「流石にもう遅いからあんまりでけぇ音出せねーんだわ。」

気がつけば太陽は沈みかけ、月が顔を出していた。
いつの間にか結構な時間が経っていたようだ。
先輩とギターと歌に夢中で気づかなかった。

「家どこだ?」
「……▲▼です。」
「へぇ、じゃあ俺んちと方向一緒か。送ってく。帰んぞ。」

それだけいうと私からギターを受け取りギターケースにしまい、入口の方へ歩き出す。
私も慌てて自分のギターとカバンを持ち後ろを追いかけた。

明日から、先輩と私の放課後のレッスンが始まるのだ。


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