僕が歌えば、君が来る。
「大分上手くなったな。」
「………………。」

ども……………。と言うふうに首を少し前に突き出し礼をする。ただそれだけでやっぱりしゃべらない。しゃべりたくない。
早く帰らないかな。
そんな思いとは裏腹に、あの人は帰る様子なし。

「(早く帰れ早く帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ………。)」
「なぁ、」

一生懸命視線を送ったが、無視して話しかけてくる。
朝日が後ろからあの人を照らしてるから表情はよく見えない。あの人は今、どんな顔をしてるんだろう。一瞬そんなことを考えた。

「俺と付き合ってくんね?」
「ぶふぉっっ」

盛大に飲み物を吹き出した。びっくりして。いきなりすぎて。
                                 

嬉しくて。

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