完璧男子に興味なしっ!


こんな時間まで1人で自主練してるの……?


そういえば、この前数学の教科書を取りに来た時も、同じような時間に会ったっけ。


あの時もこんな風に自主練をしていたの?



「……覗き見はよくないな」


「えっ?」



音をたてないよう、息をひそめて覗いていたはずなのに、神城君がこちらを向いて笑っている。


思わず、逃げ出したくなった。


だけど、足に根がはったように動けない。



「こんな時間にこんなところで何してんの?」


「あ、その、忘れ物を取りに……」



ボールを手にした神城君がこちらに歩いてきた。


目を合わせるのが怖くて、私はうつむきながらゴニョゴニョと答える。


その時、突然腕を引っ張られて、前のめりになった。


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