甘々王子にユウワクされて。


「ごめんな、これ、高槻晃斗。
 まーこいつも拗ねるし予鈴ももう鳴るし、席戻って?」


そう言って明るく笑う彼。


仕方ないなぁ、という感じにばらばらと散っていく彼女たち。



あ……これはチャンス。


わたしも席に行ける。




そう思って、邪魔にならないように鞄を抱えながら彼女たちと逆をいき、無事自分の席にたどりついた。



「……あの、ありがとう、ございます」




彼女たちを散らしてくれた高槻くんに、小さくお礼を言う。


自意識過剰だとうざがられるだろうか。


さっきの暴言も思い出して、少し怯えてしまう。



そして確かに……切れ長の目に青く見えるほど黒い髪、細いフレームのメガネをかけた彼はとても整った顔立ちをしている。



「別に君の為じゃないから、お礼言われる筋合いないけど」



だけどその綺麗な顔を無駄にするかのように冷たく無気力な目をして答えた彼。


……想像通りすぎて笑える。



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